ひと目で分かる! ドローン規制の全体像

5分でわかる!ドローン規制の全体像

 はじめまして。行政書士の桝田と申します。前職は国会議員政策担当秘書として議員会館(永田町)で働いておりました。
 弊所HPは、「ドローンの規制がひと目でわかる」を目標に、トップページドローンを巡る規制の一覧を整理し、規制の詳細についてはリンク先の記事で解説するという作りになっています。
 もっとも、はじめてドローン規制を目の当たりにされる方にとって、全体像を把握しづらいことは否めません。
 そこで、ドローン規制の全体像を把握するガイダンスとしてこのページを作成しました。
 このページをご一読されたうえで、改めてトップページをご覧いただければ、ドローン規制の概要が具体的なイメージと共にご理解いただけます。

ドローンを巡る法規制の成り立ち

始まりは1台のドローンでした…

 平成27年4月22日、1台のドローンが日本中の注目を集めることになりました。総理官邸屋上のヘリポート付近で所有者不明のドローンが発見されたのです。世にいう「総理官邸ドローン落下事件」です。
 この事件は、我が国のテロへの無防備さを露呈するとともに、ドローンという新しい技術のルール作りが強く意識されることとなりました。
 そして、この事件がきっかけとなり、ドローンの法整備が本格化することになりました。

 

ドローンを巡る法整備へ

 最初に動いたのは、国会議員でした。重要施設でのドローンの飛行を制限する「小型無人機等飛行禁止法」の原案をまとめ、6月に議員立法という形で国会に提出したのです。
 そして、7月には内閣が、ドローンの飛行のルールを定めた航空法改正案をまとめ、国会へ提出しました。

 

 もっとも、例年であれば、内閣が7月に法案を提出することはありません。なぜなら、国会の閉会間近のため、法案成立に間に合わないからです。
 しかし、当時の国会(第189回通常国会)は安保法案を巡り与野党が激しく対立し、245日間という過去最長の会期が設けられることとなったため、法案を審議する時間的な余裕が生まれることとなりました。
 その結果、いわば怪我の功名のような形で、航空法改正案は9月に可決・成立に至りました。

 

 それでは、改正航空法を中心に、ドローンを巡る規制の全体像を見ていきたいと思います。

飛行の空域・場所に関する規制

 ドローンを飛行させるうえで最も注意することは、ドローンの衝突による被害を防止することです。とりわけ航空機との衝突は大惨事となりかねません。
 また、人口密度の高い地域とそうでない地域では、自ずと衝突の確率も変わってきます。
 そこで、航空法は、①空港等の周辺の上空の空域、②150m以上の高さの空域、③人口集中地区の上空を規制対象とし、これらの空域でドローンを飛行させる場合には、国土交通大臣の許可を要すると定めました

(出所:国土交通省HP)

②150m以上の高さの空域

 このなかで、最も分かりやすいのが、②150m以上の高さの空域です。
 航空機との衝突の可能性を考慮して、地表または水面から150m以上の高さの空域の飛行について、一律に制限が設けられています

 

①空港等の周辺の上空の空域

 これに対して、①空港等の周辺の上空の空域における規制は、若干複雑になっています。
 といいますのも、航空機は、空港を起点(終点)として、徐々に上昇(下降)していくという航路をたどるため、空港に近接する地点と離れた地点とでは、規制される高さが異なるからです
 詳細は「空港等の周辺の上空の空域」で説明いたしますが、空港を中心としたすり鉢状の空域について規制が及ぶというイメージでご理解ください。逆にいうと、このすり鉢状の空域よりも低いところでドローンを飛行させる場合は、国土交通大臣の許可を要しないということになります。

 

③人口集中地区の上空

 上記2つの規制と比べて規制が及ぶ可能性が高いのが、③人口集中地区の上空における規制です。都市部はほぼ免れないと考えてください。
 人口集中地区とは、市区町村の区域内で人口密度が1平方キロメートルあたり4,000人以上の区域が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区(DID地区)を指すものとされています。
 では、どうやって人口集中地区を調べるのでしょうか? 結論から申し上げますと、ネットで調べることができます。
 下記リンクより国土地理院HP「地理院地図」をご覧ください。地図に現れた赤い箇所が「人口集中地区」となり、国土交通大臣の許可を要することとなります。
【国土地理院】地理院地図「人口集中地区H27年(総務省統計局)

(出所:地理院地図)

飛行の方法に関する規制

 航空法は、以下の6つの飛行方法に関して、国土交通大臣の承認を要すると定めています

 

①夜間飛行の禁止(日中での飛行)

 ドローンを安全に飛行させるうえで、ドローンの位置と周囲の状況を把握する必要があります。そのためには、ドローンの飛行は、見通しのきかない夜間よりも、日中であることが望ましいといえます。
 そこで、航空法は、国土交通大臣の承認がない限り、ドローンの夜間飛行を禁止しています夜間飛行)。

 

②目視外飛行の禁止(目視の範囲内)

 ドローンの位置と周囲の状況を把握する上で、自分の目で把握することが望ましいことは言うまでもありません。
 そこで、航空法は、国土交通大臣の承認がない限り、目視できない状況下でのドローン飛行を禁止しています目視外飛行)。

 

③30m未満の飛行の禁止(距離の確保)

 ドローンと人・物件との距離が近くなればなるほど、衝突の危険性は高まります。
 そこで、航空法は、国土交通大臣の承認がない限り、人又は物との距離が30m未満に接近するドローンの飛行を禁止しています30m未満の飛行)。

 

④催し場所での飛行禁止

 多数の人が集まる催しが開かれている場所でのドローンの飛行は、人との接触の危険性も、落下により人に危害を及ぼす危険性も高まります。
 そこで、航空法は、国土交通大臣の承認がない限り、多数の人が集まる催しの上空でのドローンの飛行についても禁止していますイベント上空飛行)。

 

⑤危険物輸送の禁止

 ドローンが危険物を輸送する場合、危険物の漏出や、危険物の爆発によるドローンの墜落という危険を伴うことになります。
 そこで、航空法は、国土交通大臣の承認がない限り、ドローンで危険物を輸送することを禁止しています危険物輸送)。

 

⑥物件投下の禁止

 ドローンから物件を投下する場合、下にいる人へぶつけたり、ドローン自体がバランスを崩して墜落したりする恐れがあります。
 そこで、航空法は、国土交通大臣の承認がない限り、ドローンから物件を投下する行為についても禁止しています物件投下)。
 なお、ドローンを活用した農薬散布は、農薬自体が「危険物」に該当するため、⑥物件の投下だけではなく、⑤危険物輸送についても、国土交通大臣の承認を備える必要があります。

機体/操縦者/安全確保体制について

 国土交通大臣の許可・承認にあたっては、①機体の機能及び性能(機体)、②飛行させる者の飛行経歴・知識・技能(操縦者)、③安全確保体制についても審査基準が設けられています(無人航空機の飛行に関する許可承認の審査要領)。

 

①機体の機能及び性能について

 ドローンを安全に飛行させるうえで、機体自体が十分な機能及び性能を備えている必要があります。
 そこで、許可・承認にあたっては、機体自体が一定の基準を満たすことが求められています。
 この基準は、①全ての無人航空機に求められる基準のほかに、②最大離陸重量25kg以上の無人航空機に求められる基準、さらには、③飛行空域・飛行方法に応じて求められる基準(例:夜間飛行にあたって灯火を備えていること)が定められています。。

 

②操縦者の飛行経歴・知識・技能について

 性能に申し分のないドローンであっても、それを操縦する者が十分な技能を有していない限り、安全な飛行はできません。
 そこで、許可・承認にあたって、操縦者の飛行経歴・技能・知識についても一定の基準が設けられています
 この基準も、①全ての操縦者に求められる基準のほかに、②飛行空域・飛行方法に応じて求められる基準(例:物件投下にあたって5回以上の物件投下の実績を有すること)が定められています。

 

③安全確保体制

 ドローンの安全な飛行を実現するためには、運用面でも安全な飛行を担保できる仕組みを整える必要があります。
 そこで、許可・承認の審査にあたって、以下のような運用を可能とする仕組みが求められています。
安全確保体制の構築
飛行マニュアルの作成
無人航空機の点検・整備
飛行記録の作成
飛行実績の報告
事故等の報告

ドローンを巡るその他の規制

 航空法以外の主なドローン規制は以下の通りです。

 

小型無人機等飛行禁止法

 小型無人機等飛行禁止法は、国会議事堂や主たる官庁、原発等といった国の重要施設やその周辺の上空の飛行を禁止するものです
 航空法の「飛行場所の規制」に類似した規制といえますが、この法律の目的は国政の中枢機能や公共の安全の確保という点にあり、また、所轄官庁も警察庁という点で異なります。

 

条例

 都道府県立公園など、自治体が管理する施設については条例でドローンの飛行が禁止されていることが少なくありません。
 条例は自治体ごとに定められるため、条例による制限が及ぶか否かは直接自治体に確認する必要があります。

 

空中散布における無人航空機利用技術指導指針

 ドローンを利用して、農薬等を空中散布する場合、「物件投下」と「危険物輸送」に関する国土交通大臣の承認を備える必要があります(航空法)が、その他にも事業計画書の策定や、周辺への事前周知、作物ごとに定められた空中散布の方法などが指針で定められています(空中散布における無人航空機利用技術指導指針)。

 

「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン

 ドローンによる撮影および撮影映像等のインターネット上での公開にあたっては、プライバシー・肖像権を侵害する恐れ、個人情報保護法と抵触する恐れがあります。
 そこで、これらの考え方を整理し、関係者が負う法的リスクの予見可能性を高めるべくガイドラインが公表されています(「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン)。

航空法の適用除外

 以下の場合には、国土交通大臣の許可・承認を要しません。

 

①200g未満のラジコン・マルチコプター

 200g未満のラジコン・マルチコプターは、墜落・衝突による被害は極めて限定的であると考えられるため、「無人航空機」から除外されています
 そのため、「無人航空機」としての規制は及ばず、「無人航空機」の飛行として求められる国土交通大臣の許可・承認を要しません。

 

②捜索・救助のための特例

 国、地方公共団体又はこれらの依頼を受けた者が、事故・災害に際し、捜索、救助のためにドローンを飛行させる場合には、国土交通大臣の許可・承認を要しません。

まとめ

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 改めてトップページをご覧いただければ、具体的なイメージと共にドローン規制の全体像が見えてくるのではないでしょうか。
 そのうえで、リンク先の記事をご覧いただけると、規制の詳細についてもご理解いただけるものと考えております。
 このHPを転ばぬ先の杖としてご活用いただけると幸いです。

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