目視外飛行
ポイント
〇目視による常時監視をできない環境で無人航空機を飛行させるためには、国土交通大臣の承認が必要となります。
〇操縦者がメガネやコンタクトレンズの着用は「目視」に含まれますが、補助者による監視および双眼鏡・モニターによる監視は「目視」にあたりません。
〇機体・操縦者・安全確保体制に関する一般基準に加えて、機体・操縦者・安全確保体制について追加基準が定められています。
お問い合わせ
電話:050-3555-7830(平日:10時~18時)
Mail:メールフォーム
ドローンの導入を検討されている事業者様へ
★セミナー形式で解説★
★専門家による安心申請★
★ドローン規制で悩んだら★
★ドローンで補助金を活用★
★ドローン業務のマッチング★
規制の概要
規制の場面
目視による常時監視ができない状況での飛行(目視外飛行)
規制の内容
無人航空機を、目視外で飛行させてはならない
規制の趣旨
無人航空機の位置・姿勢、周囲の状況(人や障害物の有無)について目視による常時監視を義務付けることで、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人および物件の安全を図る
飛行の条件
・ 機体認証・技能証明による飛行
・ 安全を確保することができる飛行
・ 国土交通大臣の許可・承認による飛行
根拠法
・ 航空法第132条の86第2項第2号(第132条の2第1項第6号)
所管官庁
国土交通省(航空局)
罰則
50万円以下の罰金(航空法第157条の9第14号)
「目視」による常時監視の意義
「目視」とは、無人航空機を飛行させる者が自分の目で見ることを意味します。
そのため
・無人航空機を飛行させる者がメガネやコンタクトレンズを着用しても、「目視」に含まれます。
・補助者による監視は、「目視」に含まれません。
・双眼鏡視よる監視、モニターによる監視は、視野が限定されるため「目視」に含まれません。
目視外飛行の追加基準(カテゴリーⅡ飛行)
立入管理措置を講じたうえで行う無人航空機の飛行(カテゴリーⅡ飛行)
目視外飛行にあたって、国土交通大臣の承認を受けるためには、「機体の機能及び性能に関する規制」「飛行させる者の飛行経歴・知識・技能に関する規制」「安全確保体制に関する規制」に加えて、以下の追加基準を満たす必要があります。
ただし、無人航空機の機能及び性能、無人航空機を飛行させる者の飛行経歴等、安全を確保するために必要な体制等とあわせて総合的に判断し、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人および物件の安全が損なわれるおそれがないと認められる場合は、この限りでありません。
機体に関する追加基準
a.自動操縦システム・外部監視
自動操縦システムを装備し、機体に設置されたカメラ等により機体の外の様子を監視できること。
b.状況把握
地上において、無人航空機の位置及び異常の有無を把握できること(不具合発生時に不時着した場合を含む。)。
c.危機回避機能
不具合発生時に危機回避機能(フェールセーフ機能)が正常に作動すること。
【危機回避機能の例】
〇電波断絶の場合に、離陸地点まで自動的に戻る機能(自動帰還機能)又は電波が復帰するまで空中で位置を維持する機能
〇GPS等の電波に異常が見られる場合に、その機能が復帰するまで空中で位置を保持する機能、安全な自動着陸を可能とする機能又はGPS等以外により位置情報を取得できる機能
〇電池の電圧、容量又は温度等に異常が発生した場合に、発煙及び発火を防止する機能並びに離陸地点まで自動的に戻る機能若しくは安全な自動着陸を可能とする機能 等
d.補助者を配置せずに飛行させる場合
上記a~cの基準に加え、次に掲げる基準にも適合すること。ただし、立入管理区画(【審査要領4-3-2(3)b)に示す立入管理区画】)の設定により、第三者の立入りを制限することが可能な場合は、この限りではない。
なお、機体認証又は型式認証を取得した無人航空機であって、使用条件等指定書又は無人航空機飛行規程の範囲内で飛行させる場合であっても、(イ)以降に掲げる基準への適合性を示す書類を提出すること。
(ア)航空機からの視認をできるだけ容易にするため、灯火を装備すること又は飛行時に機体を認識しやすい塗色を行うこと。
(イ)地上において、機体や地上に設置されたカメラ等により予定している飛行経路において他の航空機及び無人航空機の状況を随時把握できるものであること【★1】。ただし、後述【★6】に示す方法により航空機の確認を行う場合は、この限りでない。
(ウ)第三者に危害を加えないことを製造者等が証明した機能を有すること【★2】。ただし、後述【★4】に示す方法により立入管理区画を設定した場合で、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
① 後述【★5】に示す方法により第三者が立ち入らないための対策を行う場合。
② 地上において、進行方向の飛行経路の直下及びその周辺への第三者の立ち入りの有無を常に検知できる場合【★3】。
(エ)地上において、無人航空機の針路、姿勢、高度、速度及び周辺の気象状況等を把握できること。
【気象状況把握の例】
〇無人航空機の制御計算機等で気象諸元を計測又は算出している場合はその状況を操縦装置等に表示する。
〇飛行経路周辺の地上に気象プローブ等を設置し、その状況を操縦装置等に表示する。
(オ)地上において、計画上の飛行経路と飛行中の機体の位置の差を把握できること。
(カ)想定される運用により、十分な飛行実績を有すること。なお、この実績は、機体の初期故障期間を超えたものであること。
無人航空機を飛行させる者に関する追加基準
a.遠隔操作・安全着陸
モニターを見ながら、遠隔操作により、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること及び飛行経路周辺において無人航空機を安全に着陸させることができること。
b.補助者を配置せずに飛行させる場合
a.の能力に加えて、遠隔からの異常状態の把握、状況に応じた適切な判断及びこれに基づく操作等に関し座学・実技による教育訓練を少なくとも10時間以上受けていること。 ただし、立入管理区画(【審査要領4-3-2(3)b)に示す立入管理区画】)の設定により、第三者の立入りを制限することが可能な場合は、この限りではない。
【教育訓練の例】
〇飛行中に、カメラ等からの情報により、飛行経路直下又はその周辺における第三者の有無等、異常状態を適切に評価できること。
〇把握した異常状態に対し、現在の飛行地点(飛行フェーズ、周辺の地形、構造物の有無)や機体の状況(性能、不具合の有無)を踏まえて最も安全な運航方法を迅速に判断できること。
〇判断した方法により遠隔から適切に操作できること。
c.必要な能力を有していない場合
無人航空機を飛行させる者又はその関係者の管理下にあって第三者が立ち入らないよう措置された場所において、目視外飛行の訓練を実施すること。
安全確保体制に関する追加基準
a.飛行経路の特定
飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。
b.補助者の配置
飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。ただし、c.に掲げる基準に適合する場合は、この限りでない。
c.補助者を配置せずに飛行させる場合
次に掲げる基準に適合すること。ただし、立入管理区画(【審査要領4-3-2(3)b)に示す立入管理区画】)の設定により、第三者の立入りを制限することが可能な場合は、この限りではない。
また、災害等により人が立ち入れないなど飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入る可能性が極めて低い場合であって、飛行させようとする経路及びその周辺を現場確認すること並びに第三者の立ち入りを管理することが難しい場合には、エ)~カ)についてはこの限りではない。
(ア)飛行経路には第三者が存在する可能性が低い場所を設定すること。ただし、飛行経路を設定する上でやむを得ない場合には、幹線道路・鉄道や都市部以外の交通量が少ない道路・鉄道を横断する飛行(道路・鉄道の管理者が主体的又は協力して飛行させる場合は、この限りでない。)及び人又は家屋の密集している地域以外の家屋上空における離着陸時等の一時的な飛行に限り可能とする。
【第三者が存在する可能性が低い場所】
山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するもの。
(イ)1号告示空域、その他空港等における進入表面等の上空の空域、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域、緊急用務空域又は地表若しくは水面から150m以上の高さの空域における飛行を行う際には、一時的に 150m を超える山間部の谷間における飛行又は高構造物の点検を目的とする飛行であって高構造物周辺に限定した飛行など航空機との衝突のおそれができる限り低い空域や日時を選定し、飛行の特性(飛行高度、飛行頻度、飛行時間等)に応じた安全対策を行うこと。
(ウ)全ての飛行経路において飛行中に不測の事態(機体の異常、飛行経路周辺への第三者の立ち入り、航空機の接近、運用限界を超える気象等)が発生した場合に、付近の適切な場所に安全に着陸させる等の緊急時の実施手順を定めるとともに、第三者及び物件に危害を与えずに着陸ができる場所を予め選定すること。
(エ)飛行前に、飛行させようとする経路及びその周辺について、不測の事態が発生した際に適切に安全上の措置を講じることができる状態であることを現場確認すること。
(オ)飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離(飛行の高度及び使用する機体に基づき、当該使用する機体が飛行する地点から当該機体が落下する地点までの距離として算定されるものをいう。)の範囲内を立入管理区画(第三者の立ち入りを管理する区画をいう。以下同じ。)とし、(ア)に示す飛行経路の設定基準を準用して設定すること【★4】。ただし、前述【★2】に示す第三者に危害を加えないことを製造者等が証明した機能を有する場合は、この限りでない。
(カ)(オ)に示す立入管理区画を設定した場合は、当該立入管理区画に立看板等を設置するとともに、インターネットやポスター等により、問い合わせ先を明示した上で上空を無人航空機が飛行することを第三者に対して周知するなど、当該立入管理区画の性質に応じて、飛行中に第三者が立ち入らないための対策を行うこと。また、当該立入管理区画に道路、鉄道、家屋等、第三者が存在する可能性を排除できない場所が含まれる場合には、追加の第三者の立入管理方法を講じること【★5】。ただし、前述【★3】に示す方法により第三者の立ち入りの有無を常に監視できる場合は、この限りでない。
(キ)航空機の確認について、次に掲げる基準に適合すること【★6】。ただし、前述【★1】に示す方法により航空機の状況を随時確認できる場合は、この限りでない。
【航空機の確認】
〇飛行前に、飛行経路及びその周辺に関係する航空機の運航者(救急医療用ヘリコプターの運航者、警察庁、都道府県警察、地方公共団体の消防機関等)に対し飛行予定を周知するとともに、航空機の飛行の安全に影響を及ぼす可能性がある場合は、無人航空機を飛行させる者への連絡を依頼すること。
〇航空機の飛行の安全に影響を及ぼす可能性がある場合には、飛行の中止又は飛行計画(飛行日時、飛行経路、飛行高度等)の変更等の安全措置を講じること。
〇飛行経路を図示した地図、飛行日時、飛行高度、連絡先、その他飛行に関する情報をインターネット等により公表すること。
d.航空情報の発行体制
前述【★1】に示す方法により航空機の状況を常に確認できない場合は、航空情報の発行手続きが必要であるため、以下の対応を行う体制を構築すること。
(ア)飛行を行う日の1開庁日前までに、その飛行内容について、飛行する場所を管轄する地方航空局長(以下「管轄地方航空局長」という。)へ、以下の項目を通知すること。なお、予め管轄地方航空局長から通知先を指定された場合には、指定された機関へ通知を行うこと。
【通知項目】
〇飛行日時:飛行の開始日時及び終了日時
〇飛行経路:緯度経度(世界測地系)及び所在地
〇飛行高度:下限及び上限の海抜高度
〇機 体 数:同時に飛行させる無人航空機の最大機数
〇機体諸元:無人航空機の種類、重量 等
〇問い合わせ先:無人航空機を飛行させる者の連絡先
(イ)日時及び空域を確定させて申請し許可を取得した場合には、申請内容に応じて航空情報を発行することとするため、飛行を行わなくなった場合には、速やかに管轄地方航空局長に対し、その旨通知すること。
目視外飛行の追加基準(カテゴリーⅢ飛行)
立入管理措置を講ずることなく行う無人航空機の飛行(カテゴリーⅢ飛行)
航空機の確認
目視外飛行を行う場合であって、地上において、機体や地上に設置されたカメラ等により予定している飛行経路において他の航空機及び無人航空機の状況を随時把握するなどの方法により航空機の状況を常に確認できない場合は、航空機の確認について、次に掲げる基準に適合すること。
〇飛行前に、飛行経路及びその周辺の航空機の運航者(救急医療用ヘリコプターの運航者、警察庁、都道府県警察、地方公共団体の消防機関等)に対し飛行予定を周知するとともに、航空機の飛行の安全に影響を及ぼす可能性がある場合は、無人航空機を飛行させる者への連絡を依頼すること。
〇航空機の飛行の安全に影響を及ぼす可能性がある場合には、飛行の中止又は飛行計画(飛行日時、飛行経路、飛行高度等)の変更等の安全措置を講じること。
〇飛行経路を図示した地図、飛行日時、飛行高度、連絡先、その他飛行に関する情報をインターネット等により公表すること。
航空情報の発行
以下の対応を行う体制を構築すること。
〇飛行を行う日の1開庁日前までに、その飛行内容について、飛行する場所を管轄する地方航空局長(以下「管轄地方航空局長」という。)へ、以下の項目を通知すること。なお、予め管轄地方航空局長から通知先を指定された場合には、指定された機関へ通知を行うこと。
【通知項目】
〇飛行日時:飛行の開始日時及び終了日時
〇飛行経路:緯度経度(世界測地系)及び所在地
〇飛行高度:下限及び上限の海抜高度
〇機 体 数:同時に飛行させる無人航空機の最大機数
〇機体諸元:無人航空機の種類、重量 等
〇問い合わせ先:無人航空機を飛行させる者の連絡先
〇許可を行った場合には、所要の航空情報を発行するため、飛行を行わなくなった場合には、速やかに管轄地方航空局長に対し、その旨通知すること。
機体に関する追加基準の特例
基準適合機(改正航空法ホームページ掲載機)
一定の型式の無人航空機については、安定した飛行と非常時に人等に与える危害を最小限とするための国が定めた要件(第三者の上空で飛行させる場合を除く。)に適合していることを国が確認しています。
「目視外飛行の追加基準」における「機体に関する追加基準」(自動操縦システム、カメラ監視、危機回避機能)については、「資料の一部を省略することができる無人航空機」のうち「確認した飛行形態の区分(申請書の飛行形態区分)」のEの表示のある型式の無人航空機が上記適合機に該当します。
ただし、(注2)の付記がある場合、メーカー指定の自動操縦システム及び監視カメラを装備した場合に限られます。
資料の一部省略
当該型式の無人航空機を使用して新たに国土交通大臣の許可・承認を申請する場合、以下の資料の提出は不要となります。
・機体及び操縦装置の設計図又は写真(多方面)
・運用限界及び飛行させる方法が記載された取扱説明書の写し
・追加装備を記載した資料(第三者上空の飛行を除く。)
機体認証・型式認証を取得した無人航空機
機体認証又は型式認証を取得した無人航空機であって、使用条件等指定書又は無人航空機飛行規程の範囲内での飛行にあっては、提出が求められる場合を除き追加基準への適合性を示す書類の添付を省略することができます。
飛行させる者に関する追加基準の特例
講習団体・管理団体による技能証明
国土交通大臣の許可・承認を申請するにあたり、改正航空法ホームページの「無人航空機の講習団体及び管理団体一覧」に掲載されている講習団体等が当該ホームページに掲載された日以後に発行し、「目視外飛行における追加基準」のうち「無人航空機を飛行させる者に関する追加基準」に対応する技能証明書の写しを提出する場合、「(別添資料)無人航空機を飛行させる者の追加基準への適合性」を省略することができます。
ただし、技能証明書等に求められる技能を有することが明示されていない場合は、資料の追加提出を求められることがあります。
標準飛行マニュアルの定め
「航空局標準飛行マニュアル」では、目視外飛行における追加基準について、以下のように定めています。これと異なる飛行を行うためには独自にマニュアルを作成する必要があります。
〇飛行の前には、飛行ルート下に第三者がいないことを確認し、双眼鏡等を有する補助者のもと、目視外飛行を実施する。
〇操縦者は、目視外飛行の訓練を終了した者に限る。
〇補助者についても、飛行させている無人航空機の特性を十分理解させておくこと。
なお、塀やフェンス等を設置することや、第三者の立入りを制限する旨の看板やコーン等を飛行範囲や周辺環境に応じて設置することにより立入管理区画を明示し、第三者の立入りを確実に制限することができる場合は、これを補助者の配置に代えることができる。
目視外飛行(補助者なし)
航空局標準飛行マニュアル(研究開発)では、目視外飛行(補助者なし)を行う際の安全確保体制について定めています。
★航空局標準飛行マニュアル(研究開発)
お問い合わせ
当サイトで提供する情報等に関しては万全を期してはいますが、 その内容の全てを保証するものではありません。万が一、当サイトの内容を使用したことにより損害を被った場合に、当事務所では一切責任を負いかねます。本情報を利用するにあたっての判断は、ご自身の責任でなさいますようお願いします。