無人航空機の実地検査手順書作成要領
ポイント
〇機体認証を受けたことのある無人航空機は、安全基準への適合性を示すための検査の一部または全部を省略することが認められています。
〇本要領により、最大離陸重量25kg未満の無人航空機が第2種機体認証を受検するにあたり、更新検査等の方法に係る事項を記した書類(実地検査手順書)の基本的な作成方針が定められました。
参照
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1. 目 的
航空法(昭和27年法律第231号。以下「法」という。)第132条の13第1項の機体認証を受けたことのある無人航空機については、法第 132 条の 13 第5項第2号及び法第 132条の13第6項第2号に基づき、航空法施行規則(以下「規則」という。)第236条の 15で定める安全性を確保するための強度、構造及び性能についての基準(以下「安全基準」という。)への適合性を示すための設計、製造過程及び現状に係る検査を認証の区分により一部又は全部を省略することが認められている。
本要領では、原則として最大離陸重量25kg未満の無人航空機が、法第132条13第2項第2号の第2種機体認証を受検するにあたり、更新検査等の方法に係る事項を記した書類(以下「実地検査手順書」という。)の基本的な作成方針を定める。
2.関係法規等
(1)航空法(昭和27年法律第231号。以下「法」という。)第132条の13
(2)航空法施行規則(昭和27年運輸省令第56号)第236条の12~第236条の15
(3)無人航空機の検査に関する一般的方針(国空無機第237030号)
3.適用
原則として、最大離陸重量25kg未満の無人航空機であって、法第132条の13第2項第2号の第2種機体認証を更新する際の実地検査手順書に適用する。
第2種機体認証の更新以外について本要領を適用する場合は、当該機の認証の区分及び重量区分を考慮したうえで、必要な項目、手順等の変更を加え適用することができる。
4.実地検査手順書の構成
(1)構成
実地検査手順書は、以下に掲げる事項から構成することとし、型式認証の取得までに無人航空機整備手順書の設定に併せて、国の確認を受けなければならない。
また、型式認証を取得していない場合は、初回機体認証の取得までに設定し、国の確認を受けなければならない。
①無人航空機の一般的外観検査
②地上機能試験による機能、性能の確認
③飛行試験による機能、性能の確認
④設計概念書(CONOPS)に定める飛行形態別の意図する運用タイプに対応する任意装備を搭載した形態における機能、性能の確認
(2)実地検査
実地検査では、無人航空機の基本形態に加え、飛行形態別に搭載する任意装備等の機能、性能を確認する。
そのため、実地検査手順書では、無人航空機の基本形態に関する基本的な検査手順(以下「基本手順)という。)に加え、基本手順を補足又は変更した手順(以下「追加手順」という。)を定めること。
無人航空機の現状検査においては、基本手順及び追加手順を実施し、それぞれ機能及び性能の確認を行うが、基本手順及び追加手順を組み合わせて実施してもよい。
実地検査手順書には、無人航空機の外観について正常な状態との比較判断ができる機体外観の詳細な写真(六面)及び設計図、法第132条の19による型式認証の表示(記載項目、記載順序、様式等が確認できるもの)及び表示位置が確認できる写真、搭載可能な任意装備品一覧等を添付すること。
5.実地検査手順書の記載事項
実地検査手順書の記載事項は、以下を考慮して設定すること。
なお、機体を故障・破壊させることにより判定する項目は、検査項目として設定する必要はない。
また、緊急操作等の機能については、機体を地上に設置した状態で確認できるものに限って設定すればよい。
各検査項目に対し、合否判定に必要な基準について許容範囲を含めて明確にして記載すること。
(1)無人航空機の一般的外観検査
無人航空機の外観について欠陥がないか目視により検査する。
当該点検項目の例(基本的には飛行前点検の項目を対象としてもよい。)
・ 機体外観の傷、へこみ、割れ、部品の欠損、取付け状態等
(2)地上機能試験による機能及び性能の確認
①無人航空機、操縦系統及び他の各系統が正常に機能することの点検
②発動機装備機にあっては、発動機が正常に機能することの点検
③その他、地上で行うのが合理的な機能点検
(当該点検項目の例)
・ バッテリーの状態、セルフモニター(異常の有無)、GPS 受信状態、緊急停止機能等
(3)飛行試験による機能及び性能の確認
離陸、上昇、降下、着陸等の通常運用で使用する各系統及び各機器についての全体的な状態の点検を行う。
①回転翼の点検項目の例
・ 飛行区域の範囲、ホバリング高度及び機能確認高度については、安全を考慮したうえで機体の設計者が指定すること。
・ 地面効果を外れる高度で飛行させることとし、アイレベルでのホバリングを基本とする。コントローラ上に対地高度を表示する機能がある場合、アイレベルを超えた地点でのホバリングとして差し支えない。
・ ホバリング開始後に前方5mの位置まで低速水平前進飛行を行い停止し、低速水平後退飛行を行い停止する。
・ 右又は左5mの位置まで低速水平右移動を行い停止し、低速水平左移動を行い停止する。
・ 停止の状態から右又は左に機首を90度向けて停止後、元の位置に機首を戻して停止する。
・ ホバリング状態から指定の高度まで上昇して停止後、元の高度まで降下する。
・ アイレベルでの高度において8の字旋回飛行を行う。
②固定翼の点検項目の例
・ 飛行区域の範囲、性能確認高度については、安全を考慮したうえで機体の設計者が指定すること。
・ 離陸時の上昇性及び安定性を確認し、定められた高度まで上昇する。
・ 定められた高度及び距離の水平直線飛行を行う。
・ 8の字旋回飛行を行う。
・ 着陸時は滑走路進入時から接地するまでの安定性及び着陸時にバウンドすることなく滑らかに着陸できること。
(4)追加手順
上記(1)~(3)に係る試験を追加手順においても実施すること。
ただし、基本手順と重複する項目にあっては、省略してよい。
6.実地検査手順書の改訂について
(1)型式認証を受けていない無人航空機
型式認証を受けていない法第132条の13第5項第2号及び第6項第2号に掲げる無人航空機であって、機体認証を受けた後に改造等が行われた場合は、当該変更に対応する無人航空機整備手順書の一部変更又は追加部分について、機体認証に併せて国の確認を受けなければならない。
(2)型式認証を受けた無人航空機
型式認証を受けた無人航空機に対応する無人航空機整備手順書の変更又は追加を伴う設計変更により、実地検査手順の追加又は変更を行う場合は、当該設計変更の承認に併せて国の確認を受けなければならない。
7.その他
この要領を実施するために必要な細目的事項については、無人航空機安全課が別途定める場合がある。
参考資料
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