他人の土地
ポイント
〇第三者の土地の上空でドローンを飛行させる場合、土地所有者の同意・承諾が必要です。
〇土地所有者の同意・承諾が必要な範囲は、当該土地を所有する者の「利益の存する限度」に限られます。
〇土地所有権の侵害と認められた場合、妨害排除請求・妨害予防請求・損害賠償請求の対象となることが考えられます。
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規制の概要
規制の場面
他人の土地における飛行
規制の内容
土地所有者の同意または承諾なしにドローンを飛行させてはならない
規制の趣旨
土地所有権の内容の円満な実現
根拠法
民法207条
所管官庁
法務省(←民法の所管官庁として)
民法上の関係について
土地所有者との法律関係
他人の土地において、土地所有者の同意又は承諾なしにドローンを飛行させた場合、そのドローン飛行は土地所有権を侵害する違法なものとなるのが原則です。
この場合、ドローンを飛行させる者は、土地所有者から、所有権に基づく物権的請求権の行使として、(土地に入ってきた)ドローンを離脱させること(妨害排除請求)、および、(土地に入る前に)ドローンを入れないこと(妨害予防請求)を求められることがあります。
また、このような飛行によって何らかの「損害」が生じたものと認められた場合には、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)を受ける恐れもあります。
土地所有権の及ぶ範囲について
民法207条は、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」と定めています。
そのため、土地の所有権は、土地の表面だけではなく、その上空にまで及ぶこととなります。
ただし、土地所有権が及ぶ土地上の空間の範囲は、一般に、当該土地を所有する者の「利益の存する限度」とされています。
航空法との関係について
では、航空法に基づくドローンの飛行が、土地所有権に対する「法令の制限」といえるのでしょうか。
そもそも、ドローンの飛行に関する国土交通大臣の許可・承認は、地上の人・物件などの安全を確保するため技術的な見地から行われるものであり、土地所有権との調整を図る趣旨のものではないと考えられます。
そのため、航空法に基づくドローンの飛行は、土地所有権に対する「法令の制限」とは認められず、たとえ国土交通大臣の許可・承認に基づくドローンの飛行であっても、土地所有者の同意・承諾のないドローンの飛行は、土地所有権の侵害となる恐れがあります。
無人航空機の飛行と土地所有権の関係について
無人航空機を第三者の土地の上空において飛行させる場合における土地所有権との関係について、以下の通り整理されました(令和3年6月28日 内閣官房小型無人機等対策推進室)
要旨
〇土地所有権が及ぶ土地上の空間の範囲は、土地所有者の「利益の存する限度」とされている。
〇第三者の土地の上空を飛行させる場合、常に土地所有者の同意を得る必要がある訳ではない。
〇「利益の存する限度」の具体的範囲については、当該土地上の建築物や工作物の設置状況など具体的な使用態様に照らして、事案ごとに判断される。
土地所有権の範囲についての基本的考え方
民法においては、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」(第 207 条)と規定されているが、その所有権が及ぶ土地上の空間の範囲は、一般に、当該土地を所有する者の「利益の存する限度」とされている。
このため、第三者の土地の上空において無人航空機を飛行させるに当たって、常に土地所有者の同意を得る必要がある訳ではないものと解される。
この場合の土地所有者の「利益の存する限度」の具体的範囲については、一律に設定することは困難であり、当該土地上の建築物や工作物の設置状況など具体的な使用態様に照らして、事案ごとに判断されることになる。
「利益の存する限度」について
土地所有者の「利益の存する限度」は、無人航空機飛行時における当該土地上の建築物や工作物の設置状況など具体的な使用態様に照らして判断される。
なお、無人航空機の運航に関する将来的な計画を立てる際には、当該土地に係る容積率、用途制限等から将来的な土地の使用態様をある程度予測することが可能であると考えられる。
高度についての「一律の基準」について
土地の所有権の及ぶ土地上の空間の範囲についての基本的考え方は、上記の通りであり、当該土地の使用態様の如何にかかわらず、無人航空機が土地の上空を飛行するに当たって当該土地の所有者の同意が必要となる高度についての一律の基準は存在しない。
なお、航空法において規定されている最低安全高度は、あくまで安全確保の観点からの規制であり、土地所有者の「利益の存する限度」の範囲を定めるものではない。
いわゆる「上空通過権」について
民法上、土地上の空間の一定範囲に設定される用益物権としては、区分地上権と地役権があるが、それぞれ一定の制約があり、無人航空機の飛行に関してこれらの権利を設定することはできない。
また、土地所有者が同人の利益が存しない土地上の空間を利用する契約を締結した場合であっても、そのことをもって当該契約の相手方が当該空間の排他的な利用権を取得したことにはならず、第三者が当該空間において無人航空機を飛行させることを妨げることはできないと解される。
参照
他の規制との違いについて
他の規制と異なり、他人の土地の上空での飛行が問題となるケースは、土地所有者とドローンを操縦する者という私人同士の紛争という特徴があります。
たとえば、航空法や小型無人機逃避行禁止法は、法律自体が、ドローンの飛行を直接禁止しています。これに対して、他人の土地の上空を飛行させるケースでは、法律(民法)が直接ドローンの飛行を禁止しているわけではありません。
ドローンの飛行が、他人の土地の所有権を侵害する結果として、当該土地から出ていくことを求められる、あるいは、損害賠償請求を受けるにすぎません。すなわち、何らかの規制に違反したわけではありません。
法律によって直接的にドローンの飛行が規制されるケースなのか、私人間の権利調整の結果、ドローンの飛行が制約を受けるケースなのか、という違いがあることにご注意ください。
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