ひと目で分かる! ドローン規制の全体像

令和03年06月04日改正 航空法◆機体認証・技能証明

 

ポイント

技能証明+機体認証による飛行制度が始まります。
〇この場合、国土交通大臣の許可・承認が不要となることがあります。
〇飛行計画の報告、飛行日誌の備え、事故発生時の対応が定められました。

 

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航空法の目的

 航空法の目的に「無人航空機の飛行の安全確保」が明記されました(航空法第1条)。

【航空法第1条】
 この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め、並びに航空機を運航して営む事業の適正かつ合理的な運営を確保して輸送の安全を確保するとともにその利用者の利便の増進を図り、あわせて無人航空機の飛行における遵守事項等を定めてその飛行の安全の確保を図ることにより、航空の発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。

特定飛行

特定飛行

 国土交通大臣の許可を要する空域(空港周辺、150m以上の高さ、緊急用務、DID上空)における飛行、及び、国土交通大臣の承認を要する飛行方法(夜間飛行、目視外飛行、30m未満、イベント上空、危険物輸送、物件投下)による飛行を「特定飛行」と定義されました(航空法第132条の87)。

 

特定飛行の条件

 特定飛行は、以下の要件を満たす場合に可能となります。

①国土交通大臣の許可・承認

 国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれる恐れがないと認めて許可・承認した場合(航空法第132条の85第4項第2号・同第132条の86第5項第2号)

②安全確保飛行

 係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限したうえで行う飛行その他の航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保することができるものとして国土交通省令で定める方法による飛行(航空法第132条の85第4項第1号・同第132条の86第5項第1号)

③技能証明と機体認証による飛行(新設)

 技能認証を受けた者による、機体認証を受けた機体の飛行(航空法第132条の85第1項・同第132条の86第2項)

機体認証

機体認証

 機体認証とは、国土交通大臣が、無人航空機(設計・製造過程・現状)について、国土交通省令で定める安全性を確保するための強度・構造・性能基準(安全基準)に適合すると認める認証のこと(航空法第132条の13第4項参照)。

 

機体認証の区分

 機体認証は、対象となる無人航空機の飛行内容に応じて行う(航空法第132条の13第2項)

区分 飛行内容
第一種機体認証 立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行
第二種機体認証 立入管理措置を講じて行う特定飛行

※ 立入管理措置…無人航空機の飛行経路下において、無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立ち入りを管理する措置であって、国土交通省令で定めるもの(航空法第132条の85第1項)

 

検査手続きの省略

 国土交通大臣は、型式認証を受けた型式の無人航空機については、機体認証に係る検査の一部または全部を省略することができる(航空法第132条の13第5項・第6項)。

 

機体認証の詳細

機体認証

 

型式認証

 型式認証とは、国土交通大臣が、無人航空機の型式の設計及び製造過程について、安全基準および均一性基準に適合すると認める認証のこと(航空法第132条の16第3項参照)。

 

型式認証の区分

 型式認証は、対象となる無人航空機の飛行内容に応じて行う(航空法第132条の16第2項)

区分 飛行内容
第一種型式認証 立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行
第二種型式認証 立入管理措置を講じて行う特定飛行

 

型式認証の詳細

型式認証

 

登録検査機関

 登録検査機関とは、機体認証及び型式認証等に関する国土交通大臣の事務のうち、無人航空機検査の実施に関する事務(無人航空機検査事務)の全部又は一部を行うものとして登録を受けた者のこと(航空法第132条の24参照)

 

登録検査機関の詳細

登録検査機関

 

技能証明

技能証明

 技能証明とは、無人航空機を飛行させるのに必要な技能に関する国土交通大臣の証明(航空法第132条の40)

 

技能証明の区分

 技能証明は、対象となる飛行内容に必要な技能について行う(航空法第132条の42)

区分 飛行内容
一等無人航空機操縦士 立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行
二等無人航空機操縦士 立入管理措置を講じて行う特定飛行

 

 

技能証明試験

 国土交通大臣は、技能証明を行う場合には、無人航空機を飛行させるのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定するために試験を行わなければならない(航空法第132条の47第1項)。

 

技能証明の詳細

技能証明

 

無人航空機操縦士試験機関

指定試験機関

 国土交通大臣は、指定を受けた者(指定試験機関)に、技能証明試験の実施に関する事務(試験事務)を行わせることができる(航空法第132条の56第1項)。

 

無人航空機操縦士試験機関の詳細

無人航空機操縦士試験機関

 

登録講習機関

 登録講習機関とは、国土交通大臣から登録を受けた無人航空機講習を行う者のこと(航空法第132条の69)

 

試験の免除

 登録講習機関が行う無人航空機講習を修了した者は、技能証明を受けるにあたり、学科試験又は実地試験の全部または一部を免除される(航空法第132条の50)。

 

登録講習機関の詳細

登録講習機関

 

技能証明と機体認証による飛行

立入管理措置

 立入管理措置があれば、「二等無人航空機操縦士」による「第二種機体認証」を受けた機体で足りる。
 立入管理措置がなければ、「一等無人航空機操縦士」による「第一種機体認証」を受けた機体が求められる。

 

国土交通大臣の許可・承認

 以下のいずれかの場合には、「運航の管理が適切に行われていること」についての国土交通大臣の許可・承認が必要。
○立入管理措置がない場合、
○国土交通省令で定める総重量を超える機体を使用する場合
○空港周辺の空域、150m以上の高さの空域、緊急用務空域、イベント上空飛行、危険物輸送、物件投下

 

安全確保措置

 以下の全てを満たす場合には、国土交通大臣の許可・承認は不要。
 「航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保するために必要なものとして国土交通省令で定める措置」を講じればよい(航空法第132条の85第3項・航空法第132条の86第4項)。
○立入管理措置あり
○国土交通省令で定める総重量を超えない機体を使用
○DID上空の空域、夜間飛行、目視外飛行、30m未満の飛行

 

技能証明と機体認証による飛行のまとめ
空域・方法 立入管理 立入管理+機体重量超過 立入管理なし
空港周辺 2等+2種+許可 2等+2種+許可 1等+Ⅰ種+許可
150m以上 2等+2種+許可 2等+2種+許可 1等+Ⅰ種+許可
緊急用務 2等+2種+許可 2等+2種+許可 1等+Ⅰ種+許可
DID上空 2等+2種+安全確保措置 2等+2種+許可 1等+Ⅰ種+許可
夜間飛行 2等+2種+安全確保措置 2等+2種+承認 1等+Ⅰ種+承認
目視外飛行 2等+2種+安全確保措置 2等+2種+承認 1等+Ⅰ種+承認
30m未満 2等+2種+安全確保措置 2等+2種+承認 1等+Ⅰ種+承認
イベント上空 2等+2種+承認 2等+2種+承認 1等+Ⅰ種+承認
危険物輸送 2等+2種+承認 2等+2種+承認 1等+Ⅰ種+承認
物件投下 2等+2種+承認 2等+2種+承認 1等+Ⅰ種+承認

 

【1等】一等無人航空機操縦士
【2等】二等無人航空機操縦士
【1種】第一種機体認証 
【2種】第二種機体認証
【許可】国土交通大臣の許可 
【承認】国土交通大臣の承認
【立入管理】無人航空機の飛行経路化において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立ち入りを管理する措置であって、国土交通省令で定めるもの

 

特定飛行の義務

 特定飛行を行う者の義務として、以下の義務が定められました。

 

第三者の立ち入りへの対応措置

 立入管理措置を講じることなく特定飛行を行う場合において、特定飛行中の無人航空機の下に人の立ち入り又はその恐れのあることを確認したときは、直ちに無人航空機の飛行を停止し、飛行経路の変更、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがない場所への着陸その他の必要な措置を講じなければならない(航空法第132条の87)。
第三者が立ち入った場合の措置

 

飛行計画

 特定飛行を行う場合、無人航空機を飛行させる者は、あらかじめ当該特定飛行の日時、経路その他国土交通省令で定める事項を記載した飛行計画を国土交通大臣に通報しなければならない(航空法第132条の88第1項)。。
 飛行計画を通報した無人航空機を飛行させる者は、国土交通大臣の指示に従うほか、飛行計画に従って特定飛行を行わなければならない(航空法第132条の88第3項)。
飛行計画

 

飛行日誌

 特定飛行を行う場合、飛行日誌を備えなければならない(航空法第132条の89第1項)
 飛行日誌には、国土交通省令で定める事項を記載しなければならない(航空法第132条の89第2項)
飛行日誌

 

事故等の場合の措置

 無人航空機に関する事故が発生した場合、その無人航空機を飛行させる者は、無人航空機の飛行の中止、負傷者の救護その他危険を防止するための必要な措置を講じなければならない(航空法第132条の90第1項)。
 無人航空機に関する事故が発生した場合、その無人航空機を飛行させる者は、日時・場所・その他の事項を国土交通大臣に報告しなければならない(航空法第132条の90第2項)。
事故等の場合の措置

報告徴収・立入検査

対象の拡大

 報告徴収・立入検査の対象に、以下の内容が追加されました(航空法第134条第1項本文)。
〇無人航空機の検査
〇無人航空機の装備品もしくは部品の設計、製造、整備もしくは改造、
〇無人航空機操縦者の講習もしくは知識及び能力の判定

 

対象者の拡大

 報告徴収・立入検査の対象者に、以下の者が追加されました(航空法第134条第1項第16号~第19号)。
〇無人航空機の検査をする者
〇無人航空機の装備品もしくは部品の設計、製造、整備、改造をする者
〇指定試験機関
〇登録講習機関
〇登録更新講習機関

 

報告徴収・立入検査の詳細

報告徴収・立入検査

 

手数料の納付

 以下の者の手数料の納付義務が定められました(航空法第135条第1項)。
〇機体認証(※)を申請する者
〇機体認証書または型式認証書の再交付を申請する者
〇型式認証(※)を申請する者
〇型式認証を受けた無人航空機の設計又は製造過程の変更の承認(※)を申請する者
〇無人航空機操縦者技能証明を申請する者
〇無人航空機操縦者技能証明書の再交付を申請する者
〇無人航空機操縦車技能証明の有効期間の更新を申請する者
〇無人航空機操縦者技能証明の有効期間の更新のための講習(※)を受ける者
〇無人航空機操縦者技能証明についての限定の変更を申請する者
(※)…国土交通大臣が行うものに限る。

 

手数料の納付の詳細

手数料の納付

 

登録免許税の納付

 以下の登録・技能証明について、登録免許税の課税事項とが定められました(登録免許税法別表第一第32号(30)ワ及び第138の2号(一)(二)(三))。
〇一等無人航空機操縦士の技能証明(更新の技能証明を除く)
〇登録検査機関の登録(更新の登録を除く)
〇登録講習機関の登録(更新の登録を除く)
〇登録講習更新期間の登録(更新の登録を除く)

 

登録免許税の納付の詳細

登録免許税の納付

付帯決議

衆議院 国土交通委員会 付帯決議

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

(中略)

(7)無人航空機の有人地帯での補助者なしの目視外飛行については、安全性を最大限確保する必要があることから、運航管理方法に係る許可を行うに際し、飛行の方法及び場所に応じて生じるリスクを十分に審査した上で行うこと。
(8)無人航空機は、物流等への幅広い活用や国民生活の利便性の向上に寄与することが期待されることから、技術革新等による機体の安全性や性能向上等を検証しつつ、無人航空機に係る規制については、適宜見直しを行うこと。
衆議院 国土交通委員会 付帯決議(令和3年5月11日)

 

参議院 国土交通委員会 付帯決議

 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。

(中略)

(6)無人航空機の有人地帯での補助者なしの目視外飛行については、安全性を最大限確保する必要があることから、運航管理方法に係る許可を行うに際し、飛行の方法及び場所に応じて生じるリスクを十分に審査した上で行うこと。
(7)無人航空機は、物流等への幅広い活用や国民生活の利便性の向上に寄与することが期待されることから、技術革新等による機体の安全性や性能向上等を検証しつつ、無人航空機に係る規制については、適宜見直しを行うこと。
(8)無人航空機に係る登録講習機関制度等の運用に当たっては、民間団体がこれまでに蓄積してきた知見を十分に活用するとともに、登録講習機関等が実施する講習が一定の教育水準を確保することができるよう、必要な助言・指導を行うこと。
(9)ラジコン等模型飛行機の登録申請時の負担の発生等により、愛好者が減少し、そのものづくり、文化的価値の継承が困難となるような事態を避けるため、手続の在り方等について、関係者を交え、必要な検討を行うこと。
参議院 国土交通委員会 付帯決議(令和3年6月3日)

 

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参照

HPの無断転載・無断販売について
配信記事の無断転載について

参考資料

航空法等の一部を改正する法律案

概要
要綱
法律案・理由
新旧対照表
参照条文

 

会議録

衆議院 国土交通委員会 会議録(令和3年5月14日)
参議院 国土交通委員会 会議録(令和3年6月3日)

 

付帯決議

衆議院 国土交通委員会 付帯決議(令和3年5月11日)
参議院国土交通委員会付帯決議(令和3年6月3日)

 

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